子供のネット依存症

子供のネット依存症

 ネット依存症の子供が増えています。
 2012年厚生労働省研究班の調べでは、平日に学業以外で5時間以上インターネットを利用する中学生は9%、高校生は14~15%であることが分かりました。その中でネット依存症が強く疑われるのは、中高生の8%、およそ52万人にも上ることが分かりました。
 ネット依存症と呼ばれる方たちの約半数は中高生です。低年齢化はどんどん進んでいて、小学生の患者も少なくありません。

 

 2013年8月では、ネット依存症の約8割がネットゲーム依存です。=>ネットゲームにはまってネット依存症になったケース
 子供のネット依存症の患者はほとんどが男の子ですが、最近はチャット、SNS、動画サイトなどに夢中になる層の増加に伴い、女の子の患者も増えてきました。

 

ネット依存症の基準

 ネット依存症は新しい依存症なので、決まった診断ガイドラインはまだありませんが、ネット依存症治療の専門部所を持つ久里浜医療センターでは次のようなガイドラインを設けて診断基準にしているとのことです。

  1. ネットをやめられず、使用時間をコントロール出来ない。
  2. 体や心の健康に問題が生じている。
  3. 家庭や学校で問題が生じている。

 1と2、または1と3が明確にあれば、ネット依存症としています。

 

子供のネット依存症の症状

ネット依存症によるさまざまな悪影響

 ネット依存は子供の将来を大きく狂わせるものです。まず、ネットに時間が取られるので勉強ができなくなります。成績が下がり、進学ができなくなります。失われた時間は取り戻せません。心にも多大な悪影響を与えることもあります。=>心に与える悪影響-子供のネット依存症
 親は「ネットは依存するものだ」ということを理解しておくことが重要です。親に見つからないように、夏休み毎日、家電量販店でネットゲームをしていたという事例もあります。
 また、ネットゲームでは、ゲームを有利に進めたいがために、お金を無駄に使ってしまうこともあります。なかには親の金をこっそり盗んでしまう子供もいます。=>課金中毒-子供のネット依存症

 

ネット依存症が引き起こす身体症状

 ネット依存症の子供が引き起こしやすい身体症状には次のようなものがあります。

  • 睡眠障害:明け方までネットをするので、朝起きられない。昼夜逆転。学校に行けない。学校に行っても授業に身が入らない。
  • 体力の低下:ぜんぜん動かないので体力が低下する。患者の100%にみられる。
  • 栄養不足:ネットに夢中になりすぎて食事もおろそかになる。カップラーメンを1日1食という人もいる。血糖値も低下する。家族と一緒に食事をせずに、部屋に閉じこもって食べたり、誰も居ない時にひとりで食べたりする。
  • 骨密度の低下:ずっと座ってたり、寝転がっていたり、歩かないので足の骨密度が低下する。骨粗しょう症になることもある。
  • 視力の低下:寝る前の暗闇でスマホをいじっていたりすると視力が落ちることがあります。

 このようにネット依存症は子供の発育を阻害していきます。=>発育阻害-子供のネット依存症
 注意をするとキレてしまって、余計に深みにはまっていきます。=>家族の注意が悪循環を引き起こす-子供のネット依存症

 

ネット依存症の予防

 ネット機器購入前に次のようなことを子供に伝え、守らせましょう。

  • 所有権は親にあることを伝える。
  • 「夜9時以降は使わない。夜9時以降は親に返す」など決まりを作る。
  • 犯罪に巻き込まれる、個人情報が漏れるといったネットの危険性を伝える。

 =>子供がネットを始める前に決めておきたいこと

 

 また、日頃から親子のコミュニケーションがある子供や学校が楽しいと感じている子供は、ネット依存症になりにくい傾向があります。
 =>ネット依存症になりにくい子供

 

 リアルを大切にすることがネット依存症の予防になります。=>ネット依存症の予防

 

ネット依存症の治療

家庭でできるネット依存症の対策

 ネット依存症が疑われる場合、まずは家庭でできる対策をしてみましょう。家庭でできる対策には次のようなものがあります。

使用時間を減らせるか話し合う

 1日の使用時間を決めましょう。押し付けるのではなく、子供の意見も聞いて、子供に決めさせましょう。少しでも使用時間減らす気持ちを持たせることが大切です。

1日の行動記録をつけさせる

 1日の使用時間を決めたら、それが達成できたかできなかったかを○☓で記録します。子供本人ににつけさせましょう。

ネット以外の楽しいことを提案する

 ネット以外の楽しいことをすれば、ネットの使用時間は自ずと減ります。運動(サイクリング、ジョギング)、料理、学校が許可しているならバイトなどがよいでしょう。使用時間を減らす議論は不毛に終わることもあるのですが、これは新しく何かを始めるという前向きなことなので効果は大きいです。

親も決まりを守る

 子供の使用時間を決めたら、親もそれに準ずる決まりを作って守るようにしましょう。例えば、子供は夜9時以降使わないと決めたら、親は夜10時以降は使わないといった決まりを作ります。親も決まりを守ることで子供もやる気を出します。

 

ネット依存症の相談先

 家庭では対応しきれない場合、第三者や専門機関に相談しましょう。

  • 学校の先生やスクールカウンセラーに相談。
  • ネットの依存を診てくれる医者も増えたので、医療機関(精神科)を受診する。小児科でみてくれることも。

 専門家の医師では無いと思われますが、例えばスクールカウンセラーなどに相談した時に「様子を見ましょう」と言われた場合は注意しましょう。基本的にネット依存症は時間が経つほど重症化し、回復が遅くなるからです。
 ネット依存を専門的に診てくれる医療機関が見つからなかったり探し方がわからない場合は、都道府県に設置されている精神保健福祉センターに相談しましょう。

 

 親がきちんと対応することが、ネット依存を克服する鍵です。
 子供は自分のネット依存を隠したがります。そこから脱出させることができるのは家族だけです。少しでもネット依存症のサインがみられたら、家族は速やかに対策を始めましょう。子供の将来にも関わることです。親も本気で取り組む姿勢が大切です。

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